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Selectorは目的の異なる文章の塊りが混在するソースを読み込み、選択した箇所のみを出力するものです。
たとえば指定の言語、指定のバージョンのテキストのみを選択して出力します。
次に示すのは日本語と英語の文章を含むソーステキストです。
This is a common part for any languages.
/en/
This is in English.
/ja/
この文は日本語です。
さらにこの文も。
/end/
This again included for every output.
ISOが定めた言語コードをスラッシュで囲んだもの(/.../)で言語を選択します。 これをセレクタあるいは言語セレクタと呼びます。 上の例ではen
で英語の箇所がはじまり、ja
で日本語の箇所がはじまります。 新しい言語セレクタが現れると言語が切り替わります。 /end/
で言語の限定が終わり、その後は、次の言語セレクタが現れるまで全言語対象の箇所となります。
日本語版の文書が欲しいときには言語セレクタのja
を指定してSelectorを実行します。
This is a common part for any languages.
この文は日本語です。
さらにこの文も。
This again included for every output.
英語の場合は次のようになります。
This is a common part for any languages.
This is in English.
This again included for every output.
/end/
のかわりに/any/
を使ってもかまいません。 また言語セレクタを行頭に置いてもかまいません(単独の行ではなく)。 ただし行末に置くことはできません。
This is a common part for any languages.
/en/ This is in English.
/ja/この文は日本語です。
さらにこの文も。
/any/ This again included for every output.
上記の例では/any/
の効果は後続の行にもおよびます。
言語セレクタのほかにバージョンセレクタでさらに選択を狭めることができます。
/ja/
ここはすべての日本語版に入ります。
/.v2/
ここは第二版のみ。
/.v2.r1/
ここは第二版のさらに第二刷(revision 1)にあてはまります。
/end/
ここは再び全日本語版に適用。
/end/
ここからは日本語以外のすべての言語に適用。
バージョンセレクタは言語以外の選択肢にもとづいて文章を選択するためのものです。 製品や文書のバージョンのほか製品種別や対象顧客、想定読者にもとづく選択などです。 バージョンセレクタと呼ぶのはもっとも顕著な例と考えるからにすぎません。
バージョンセレクタは言語セレクタと区別するためドット(.)ではじまります。 ドットで区切ることでレベルを設けることができます。
上記の例でja
を指定すると、
ここはすべての日本語版に入ります。
ここは再び全日本語版に適用。
ここからは日本語以外のすべての言語に適用。
ja
と.v2
を指定すると:
ここはすべての日本語版に入ります。
ここは第二版のみ。
ここは再び全日本語版に適用。
ここからは日本語以外のすべての言語に適用。
.v2
の箇所は含まれ、.v2.r1
の箇所は含まれないことに注目してください。
さらにja
と.v2.r1
を指定すると:
ここはすべての日本語版に入ります。
ここは第二版のみ。
ここは第二版のさらに第二刷(revision 1)にあてはまります。
ここは再び全日本語版に適用。
ここからは日本語以外のすべての言語に適用。
.v2
の箇所は.v2.r1
の選択時にも含まれます。
バージョンセレクタの例:
言語セレクタとバージョンセレクタの違いについて述べます。 言語は候補となる言語のうちからたったひとつ選ばれます。 バージョンセレクタは複数指定可能で複数が同時に有効となります。 たとえば'ja'と'kr'は片方しか有効にはなりませんが、'.v2'と'.debian'は両方とも有効です。
Selectorをコマンドラインから単独で起動する方法を説明します。
まず環境変数でPerlファイルの置き場所(以下の例では~/author/prepro)を指定します。
$ export PREPRO_AUTHOR=~/author/prepro
英語と日本語で書かれたMarkdownソース(sample.md)から日本語のHTML(sample-ja.html)を作成するには:
$ ./Selector.pm --select ja < sample.md | pandoc -f gfm sample-ja.md -o sample-ja.html
Selectorのコマンドライン引数は次のとおりです。
Argument | Description | Example | Example 2 |
---|---|---|---|
--select langlist | 対象言語の選択 | --select ja | --select ja,kr |
--available langlist | 文書が書かれた言語の宣言 | --available ja,en | |
--versions selectorlist | バージョンセレクタの指定 | --versions .v2 | --versions .v2,.debian |
提供: 横浜工文社 Kobu.Com
2020-apr-08 first edition
2020-apr-20 second edition
2020-aug-31 changes in marker placement rules
2020-oct-08 third edition